浜名湖のうなぎ

うなぎの養殖

うなぎ

皆さん口を揃えて「おいしいうなぎを食べるならやっぱり静岡県の浜松市に行こうよ、浜名湖の方面までいけば何軒もデリシャスな老舗うなぎ屋があるはずさ。」と言う理由は、ここが養鰻発祥の地としても有名だからでしょう。日本で人工池の中で養殖を開始したのは明治24年が最も最古だと伝えられており、原田仙右エ門といういかにもうなぎを得意としそうな名前の人物が数ヘークタールの広さの人工池を製造して実験的に始めたそうです。そこから試行錯誤を重ねて昭和の時代に入る頃にはおいしくて栄養満点の養殖うなぎがたくさん生産される、日本でも有数の産地として全国に浜松市・浜名湖の名を轟かせるまでに発展してきたのです。養殖に適した環境がありそれに取り組む情熱を持つ人物がいた、だからこそここまでうまぎの町として知られるようになり、現在でもそれを食すため毎年多くの観光客や美食家が世界中から訪ねて来るのでしょう。新婚ホヤホヤの奥さんが旦那さんに「うなぎが食べたいな」と甘えてみれば、目的地の候補にはまず浜名湖が挙げられるほどです。妊婦さんで遠出は控えるべきと医師に制限されているなら近場優先になるでしょうが、そうでなければ「じゃ静岡行こっか」となるはずです。

うなぎの稚魚

浜名湖で養鰻が盛んに行われていることは魚屋さんでなくても知っています。でも1から完全に養殖されているのではなく、稚魚は天然のシラスうなぎを捕まえて大きく成長させる方式をとっています。なぜかというと孵化したばかりのうなぎの赤ちゃんはどうやって成長するのか、何を主食にしているのかなどまだまだ解明されていない点があり、全てを人工で養殖する技術が確立されていないため稚魚に育つまでは自然の力に任せるしかないからです。なので養鰻のスタート地点は5センチほどのシラスうなぎを捕まえることになり、そこから本格的な養殖を進めていくことになります。つまりシラスうなぎを集められることが産地の絶対条件になるのですが、浜名湖は楽々クリアできたので名産地の資格が充分にあったのです。もともとうなぎが生息していたのでその稚魚のシラスうなぎも天竜川河口や浜名湖で元気に泳ぎ回っていた、ここまで条件が揃っていれば浜松市がうなぎの街として有名になるのも必然だったのかもしれません。

おいしい浜名湖うなぎ

一口食べれば幸せな気持ちになれるとってもおいしい浜名湖のうなぎですが、おいしさの秘密は静岡県の浜松市が誇る浜名湖の環境にあります。うなぎが健やかに成長するにはきれいな水と温暖な気候か欠かせませんが、浜名湖はどちらも備えているので鰻にとってはパラダイスのような住み心地になります。そこで時間と愛情をかけてじっくりと飼育されたうなぎが不味いわけもなく、脂もたっぷり乗っていて身は引き締まっているけどふっくらとした食感の極上うなぎが大量に毎年生産されているのです。名産地ではない他県で食べるうなぎと比べればその違いは一目瞭然で、プロならば目隠しして食べても浜名湖産か否かは瞬時に判別可能でしょう。でもせっかく食べるのなら目隠しなんかせず、焼きあがった姿を見ながら、匂いを嗅ぎながら、存分に満喫して食べたいものです。またこの地方では蒲焼だけでなくお茶漬けで食べる方法もあるので、最初の1杯は普通に、2杯目はお茶漬けで、3杯目はお好みでどちらでも、という贅沢な食べ方もあることを覚えておくと観光の際には役立つでしょう。